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南沙織の最終回 (Y)

 別に南沙織が終わるわけではなくて、手持ちの南沙織のシングル盤紹介の最終回です。もちろん他にも彼女のシングル盤はあるでしょうが、僕の中ではこのあたりがおしまい、というような気持ちがあります。それでは順に紹介して行きましょう。

 これまで南沙織の楽曲を提供して来たのは、有馬三恵子と筒美京平のゴールデンコンビ(?)でした。なんとも南沙織の特徴のある歌声と、その世代感というようなものをこの二人は見事にすくい取ってきたと思います。しかし世の常、アイドルも年を取る、からかどうか分かりませんが、下の1975年発売の田山雅充作曲・中里綴作詞「人恋しくて」のヒット以降はいろいろな作家の曲にシフトして行きました。
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♪暮れそうで暮れない黄昏時は〜 というサビが耳馴染みが良いですね。まだまだ南沙織のテイストを十分に残しているので、違和感はまったくないです。もちろんヒットしました。ちなみに中里綴とは、西野バレエ団の江美早苗の作詞家としてのペンネームです。

 続いては作曲は筒美京平ですが作詞が落合恵子です。なんとももったりとした四畳半フォークのような曲調でじれったいです。
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 これはあんまりヒットしなかったんじゃなかったかなあ。個人的にはパス。

 次は作詞岡田冨美子・作曲林哲司の「愛はめぐり逢いから」ですが、TBS系のドラマ「結婚するまで」の主題歌とあります。残念ながらドラマの方は知りません。
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 アレンジはそれまでの歌謡曲、という感じからもう少し洋楽よりにシフトしていますが、別に南沙織である必要性が感じられません。以前のような♪青春なのねー♪と突き放したような若さ故の残酷さとかはみじんも無く、♪あなたもまた 寂しい人 心かさね 眠れるかしら♪と悠長なことを仰る。うーん、これまたパスの一枚。

 つづいて迷走気味の一枚。「街角のラブソング」。
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 つのだひろ作詞・作曲でロックンロール調。ジャケット写真もそのせいかフィフティーズを意識していますね。それにしても南沙織に前髪は似合わない(笑)。それは良いのですが、ロックンロールに南沙織ではねえ。ピンクレディだったら良かったのになあ。どうしても南沙織の声質ではリズムに独特のうねりが出てしまって、はじけ具合が今イチ足りません。ついでに天才アレンジャーの萩田光雄も珍しくはじけていません。

 続いては丸山圭子の作詞作曲による「木枯らしの精」。アレンジは前回に引き続き萩田光雄。
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 萩田光雄はこの頃はCBSソニーの楽曲アレンジを随分と手掛けていますが、やっぱり最高は一連の山口百恵の作品でした。なんでこんな余計な話を書いているかと言うと、つまらないから(笑)。
♪落葉 舞い散る公園通りで すれ違ったあなた♪なんてフレーズ、今時ゴミ箱にだって落ちていないし、
♪寒さ 知らずの私だけれど ちょっぴり体がふるえる♪に至っては…。寒さ知らずの主人公というのも画期的と言えば画期的ですが、そんなリアリティを歌謡曲に持ち込まれてもねえ(笑)。いわゆるニューミュージック系ライターというのは分け分からん!

 さて、好評企画(?)の南沙織シリーズですが、これがトリです。尾崎亜美作詞作曲「春の予感‐I've been mellow‐」、1978年の資生堂CMソングになりましたし、久々のヒットだったと記憶しています。
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 やっぱり尾崎亜美は天才ですねえ。ピロピロピロ〜のイントロとAメロの歌詞はいわゆるニューミュージックのそれですが、サビの
♪春の予感 そんな気分 時を止めてしまえば〜 の♪時を止めてしまえば〜 が効いていますねえ。メロディの区切りと歌詞のなんともいえない「それからどうなるの?」感が、南沙織の独特の声質のうねりに見事に重なって行きます。続いて
♪春に誘われたわけじゃない ときます。時を止めてしまえば、と考える自分と、春に誘われたわけじゃない、と少し冷静になる心の動きとがなんとも「春の予感」です。間奏のギターもストラトにコンプと軽くフェイズが掛かっていて、なつかしいサウンドです。ただ、ジャケット写真にフォーカスをかけていますね。春霞のつもりかも知れませんが、もう私は昔の南沙織じゃないのよ、ということなのでしょうか。肌の荒れ具合までさらけ出すような、ピントのバッチリあった写真はもう使えないのは当然としても。

 こうやって見ると「人恋しくて」までがいわゆる南沙織らしい南沙織で、その後の南沙織はその他のアイドル同様に新しい姿を模索するうちにタイムアップとなってしまったようです。その後篠山紀信のヨメさんになったのだから、世の中はわかりません。したがって、この企画もこれでおしまい。
by zappapa | 2007-09-24 14:19 | 今日のEP | Comments(6)
Commented by kyps at 2007-09-25 18:17 x
いやぁ、こういう涙あり、笑いありのエスプリの利いた文章の(Y)さんは名人ですねぇ~。
このまま一介の素浪人にしておくには実に勿体ないことです。
Commented by (Y) at 2007-09-26 00:07 x
過分なお褒めの言葉、まことに有り難く頂きます(笑)。さて、次は誰を俎板に乗せましょうか。しかしこうやって見ると、なかなか南沙織のような立ち位置の歌手というのは見あたりませんねえ。
Commented by 林檎丸かじり at 2007-09-26 19:34 x
イヤ〜、待っていたかいがある力作です。南沙織への愛(?)が溢れていますね。エスプリの利いた文章は、さすがです。一介の素浪人出ないことは先刻承知の助ですが。当方も忙しい中仕込んでいますぞ。しばらくお待ちあれ!
Commented by (Y) at 2007-09-26 23:11 x
林檎丸かじり様、随分とお久しぶりでしたね。僕の投稿も随分とお久しぶりでしたが(笑)。ところでどんなネタを仕込まれているのか、興味津々です。楽しみだなあ〜。
Commented by べっち at 2008-02-27 23:02 x
すばらしいコメントですね。シンシア関係の掲示板に載せたら完全バッシングだ(笑)。
ただ、引退して30年。この間偶然会ったけど、今もなお、というかあのときより、本当に綺麗でした。冷凍保存と篠山氏は言っておられるようですが、いや、確実に綺麗になっておられました。乾杯
Commented by (Y) at 2008-02-28 09:55 x
べっちさん、はじめまして。確かにシンシア命のファンの方には避難されるような内容かもしれません。ところで偶然南沙織に出会うべっちさんの方に僕は興味津々です。またお暇な折りには「やれとほ」にお寄り下さい。
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