本当はお盆休み中にアップするつもりでしたが、遊びすぎてくたびれてしまい一日遅れとなりました。まだお休みの方もいらっしゃるかな? ということでお盆特別企画の続きです。
作詞:枯野迅一郎 作曲:遠藤実 おひまなら来てよネ 私淋しいの 知らない 意地悪 本当に一人よ 一人で待ってんの 酒場の花でも 浮気なんかいやよ 来てね来てね 本当に来てよネ ここから我々のイメージする五月みどりは始まった? といって良いでしょうか。ジャケット写真のその姿からてっきり芸者さん歌謡かと思っていましたが、歌詞を良く読めば酒場の女性の唄ですね。どういうシュチュエーションかというと、3番の歌詞に ♪知らない 意地悪 電話じゃ云えない 大事な話なの とありますから電話によるお誘いですね。ま、ありがちな話です(笑)。ただ今時 ♪知らない 意地悪 なんて台詞が言える女性は皆無となりましたので、今聴くと新鮮な感じです。じゃあ今週は忙しいから、来週行くよ、と思わず答えてしまいそうです。ちなみに ♪浮気なんかいやよ というのは「よその店には行かないでね」程度の意味でしょう。いずれにせよ甘えた軽口の範囲を超えるものでは有りません。 作詞:枯野迅一郎 作曲:遠藤実 忙しくても来てよネ ないしょで来てね 淋しくて 淋しくて 今夜は逢いたいの 浮気なあんたに しんから惚れた 私って馬鹿ね 馬鹿な私を可愛がってね 前作から1年「暇だったら来てくれ」というお誘いから、「忙しくても来い」というように、一歩踏み出した表現となりました。忙しくても来いということは、男はしばらく足を運んでいなかったのでしょうか。あるいは不景気で客足が遠のいているのでしょうか。 ♪淋しくて 淋しくて 今夜は逢いたいの と言われて男はどんな反応に出るでしょうか? ただ ♪ないしょで来てね というのはどういう意味でしょう。まさか奥さんに内緒でということではないでしょう。いつもなら同僚かなんかと一緒だから、おそらくは「こっそり一人で来てね」という意味でしょうか。言外に「貴方だけなのよ」という意味をちらつかせて一本釣りしようという魂胆です。でも他の客にも言ってるんですね、当然(笑)。それを分かっていても、まあしょうがないなあと思わせるのが、五月みどりの底力のようなものでしょう。 作詞:小島胡秋 作曲:遠藤実 見れば見るほど いい男 飲みっぷりなら日本一 トコトン トコトン あなた好き好き かわいいお方 花も咲きます トコトン酒場 一週間に十日来い トコトン トコトン 「忙しくても来てね」という言葉にほだされているうちに、よほど通ったのでしょう。 ♪あなた好き好き かわいいお方 というのは本心でしょう。こんなに都合の良いお客はいないわけです。注がれたら飲む、誘われたら来る。2番の歌詞にこうあります。 ♪惚れちゃ駄目よと 意見して それでいつしか こうなった とありますが、こうなったら彼女のものです。あなたの誠意は毎日この店に通いつめることなのよと、言外に言っていますね。なかなかに深い歌詞です。さらに3番でこう歌います。 人の前では つれないが 胸の中では 手を合わす トコトン トコトン 私ひとりを せめてはいやよ これが浮き世よ トコトン酒場 一週間に十日来い トコトン トコトン 一週間に十日来い、というのは彼女の心の中の声ですね。あんた本当に良いお客ねえ、というわけです。良いお客とは、たくさん支払ってくれる客、という意味ですが(笑)。しかし「トコトン酒場」とは凄いネーミングです。 ♪これが浮き世よ というフレーズもパンチ効いてますねえ! 名作です。 作詞:小島胡秋 作曲:遠藤実 スイ スイと 世の中が スイ スイと 渡れたら こんな苦労も しなくてすむわ 熱い涙も 知らずにすむわ あら あら とんだ愚痴なぞ ごめんなさいね あなたにとっても 頼れるわ あしたも来てよね 又来てね さて、そろそろ店仕舞にしましょうという時間です。もうとっくに看板の時間でしょう。この男を帰すにはやはりしんみりさせるのが一番です。 ♪あら あら とんだ愚痴なぞ ごめんなさいね と、先ほどまでの喧噪が遠ざかる時間の中で、しんみりつぶやかれたら、男は駄目ですね。いい人ぶって席を立つしか有りません。そして女性はとどめを刺します ♪あしたも来てよね 又来てね そりゃあもう女性はとびきりの笑顔で言いますって! そして男はあしたもまたこの店に足を運ぶのでしょう。 作詞:小島胡秋 作曲:遠藤実 貴方なんか 来ないで 何かと云えば 直ぐにふくれて 帰る 帰ると 意地悪ばかり 裏町酒場は まだ宵のくち いいでしょ いいでしょ それじゃあんまりよ さすがに男も色々なことが分かってきます。いつでも何でも言うことを聞く客から、自己主張が始まります。当然の流れですね。 ♪貴方なんか 来ないで と言われて、これまでならば「そんなこと言うなよ」とうろたえていた男も、「じゃあ帰るわ」となるわけです。そうなっては今日の売り上げが立ちません。 ♪裏町酒場は まだ宵のくち いいでしょ いいでしょ それじゃあんまりよ 女性の切実な声ががらんとした店内に響きます。お金の力って大きいですね。 さて、このあとこの二人はどうなるのでしょうか? 実は翌年五月みどりさんはクラウンに移籍して「温泉芸者」となるわけでした。おしまい(笑)。
by zappapa
| 2009-08-17 15:31
| 今日の美人ボーカル
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Comments(6)
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林檎@参りました
at 2009-08-17 18:27
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なんて充実した、お盆だったのでしょう!
五月みどりの分析から水商売の心得の本が書けそうです。(笑) そう言えば、志ん生の有名な枕話に、芸者さんがお隣の人に、色っぽくお酌をしながら、反対側の人の膝にさりげなく手を載せ、お向かいの人には流し目をいれるという高度なわざで、三人一遍に参らせるという話を思い出しました(笑)何事もプロは凄いですね!
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mokki_h at 2009-08-17 20:09
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(Y)
at 2009-08-17 20:54
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林檎@様
今年の夏はハードにソフトに充実したお盆休みでした。濃かったですねえ! そして、ちょっとだけくたびれました(笑)。遊びすぎたかな? mokki様 東京・岐阜・大阪を結ぶ三元中継は楽しかったですねえ! 偶然の同時進行もあったりで、ハラハラ・ドキドキ・ワクワクのお盆休みでした。こちらこそ大変楽しませて頂きました。また自然発生的にこういうことが出来れば幸いです。ありがとうございました!!!
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kyps
at 2009-08-18 19:03
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あまりの凄さにコメントも書けません・・・畏れ入りました。
わが国には伝統的な庶民芸能のひとつとして、御座敷でうたわれる小唄がありますが、端的に言ってしまうと、それがラジオやレコードのメディアに乗って発達したのがその後の歌謡曲といえるのかもしれませんね。
五月みどりは当時映画にも出ていて大変な売れっ子でした。御座敷歌謡のおいしいところをこの人がさらってしまって、当時あまた存在したその手の歌手たちはみんな悔しがったんじゃないかな。五月みどりの美点は、声のよさ、歌のうまさはさることながら、やっぱりあの美貌に尽きるんでしょうね。後年は熟女ヌードの先駆けになったん人でもあるしさすがだと思いました。 それにしても歌詞のこの徹底ぶりには時代を偲ばせますね。こんな歌が街中に溢れていた頃の昭和の賑やかさ・楽しさは今にはないものですよね。
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(Y)
at 2009-08-30 10:38
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路傍様 おはようございます。
僕は路傍様の意見とは反対で、歌謡曲が小唄や音頭や行進曲を取り込んで広がりを作っていったのではと思っています。それだけでなく様々なリズムも貪欲に取り入れて行きましたからね。それから五月みどりさんの人気には当時のテレビ事情が大きく関わっていますよね。やはりビジュアルの要素は大きかったですね。 歌詞についてですが、歌詞だけ取り出すとこうなりますが、メロディがつくとまた印象が変わります。歌謡曲って楽しいですね。
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