しかし連日の様に天災が続いています。少なからず阪神大震災の被害を身近に感じた身としては、テレビ放映される被害状況に胸が痛みます。お見舞い申し上げます。
さて話は変わりますが、ごくごく一部で熱心な愛好家がいるローヤルレコードってご存知ですか? 1960年代後半から70年代まで結構なぺースで歌謡曲のシングル盤を出し続けていたマイナー・レーベルです。親会社は不動産とか観光業とか聞いたことがありますが、あまり詳しいことは知りません。もっとも昭和歌謡には、もっと深い井戸があちこちに掘られていたので、そういう本当の(?)インディーズに比較したら、ローヤルレコードはメジャーのようなものでしょうが。 気にはなっていたのですよ。シングル盤漁りをしていれば、嫌でも目に入ってきます。入っては来ますが手を伸ばすには結構勇気が必要な種類のオーラを発しているのですね、それがまた。調べれば連番コンプリートで集めているようなマニアが存在する種類のレーベルなのですね。そう言う話を聞いて引いてしまうか、それでは一丁となるか。ここがコレクターの分かれ道であります。 さてさて、意識しながら見て行くと、ローヤルレコードで必ず出てくる女性歌手がいます。それが椿まみさんでした(デビュー当時は『麻美』、のちに『まみ』)。これが何とも目を引くのですよ、曲名も、ジャケット写真も、そして肝心のお姿も。もちろんリアルタイムでは知ろうはずもありません。活躍時期は1960年代後半から70年代初頭で、世間ではもう天地真理だの南沙織だのが活躍していた時期と重なります。そんなわけで、ここにきてムクムクと関心がわいてきたわけです。 それでは2009年度・お盆企画第1弾。これっきりになるかもしれませんが、とりあえず見て頂きましょう。椿まみさんの3連発です。 RQ-713 ローヤルレコード 370円 /1969年10月 A面 黙っているほうが 作詞:安田英二 作編曲:柳ヶ瀬太郎 B面 パラダイスの湖 作詞:安田英二 作編曲:島村こう 黙っているほうが 黙っているほうが わたしは好き あなたがわらえばわたしも笑う 始めて逢った あの時も 何も云わず 見つめてた あなたの虜に なってしまったの このレコードはジャケットも普通、曲調もため息まじりのお色気・ムード歌謡という感じですが、この人の声質ゆえかあまりお色気は感じられません。この人の声を聴いたことがない人が多いと思いますので、主観ではありますがちょっと説明させて頂きますと、ちょっとあっさりした英亜里さんという感じでしょうか。癖はありますがそれほど強く感じないのは、高域の伸びが今ひとつ足りないからではないかと勝手に思っています。今日紹介する3枚/6曲のうちでは一番印象に残りませんでした。 パラダイスの湖 燃える瞳の きらめきは 情熱の 愛の証よ くちづけの 甘さに酔えば 湖の霧は流れて 静かに浮かぶ 鴨の群れ ああすてきな パラダイスの湖 この曲のインパクトは、なんといっても最後のフレーズ♪パラダイスの湖〜 です。なんなんだそれ?(笑) 頭の中でこのフレーズがぐるぐる回ります。このあたりにローヤルレコードの真骨頂が見え隠れします。 RA-1132 ローヤルレコード 400円 /1970年6月 A面 シーサイド・ブルームーン 作詞:藤島信人 作曲:五十嵐茂美 B面 恋の館山砂丘 作詞/作曲:五十嵐茂美 恋の館山砂丘 星がこぼれる ブルームーン 波がささやく 椰子の葉そよぐ ブルームーン 夢のように 浮かぶ小舟に 君の瞳も 青くぬれている シーサイド・ブルームーン まずこれが1970年制作というところに目が行きます。曲調はメジャーですが、リズムは西田佐知子のコーヒー・ルンバ、アレンジそのものはドンカマ(リズムボックス)のリズムに乗ったハワイアン(?)という感じでしょうか。といってもよく分かりませんよね。けっしてゲテものではないですが、もう時代はルンバでもハワイアンでもありますまい。でも実はこのジャケットはピンナップジャケットなのですよ。これは別の意味でうれしいものでした。 恋の館山砂丘 澄みきった 空の青さに 私はそっと あなたの膝に砂をかける 今もあの時の 手のひらに 砂の熱さが 忘れられない ああ 館山砂丘 これまた最後のフレーズ♪ああ 館山砂丘〜 が意識を混濁させてくれます。これってご当地ソングなのかなあ。何なんだろうなあ。そんなことを考えていると意識が…。 RA-1136 ローヤルレコード 400円 /1970年6月 A面 なぐられてもいいわ B面 だけどどうして 作詞:白鳥朝詠 作編曲:阿部純 なぐられてもいいわ なぐられてもいいわ けとばされてもいいわ あなたが好きなの どうにもならないの 泣かされても 嫌われても かまわないわ あたしはそれでも そばにいたい 椿まみさんの歌の中でもこの歌詞は最右翼ともいうべきものでしょう。でも曲調は明るいですよ、凄く明るい。アップテンポで歌詞を良く聞き取らなければ、フンフンフンと鼻歌が出てくるようなメロディですが、♪泣かされても 嫌われても かまわないわ〜 というところは結構コブシ効かせて泣かせのメロディです。歌詞の強烈さを不思議な明るさでくるんでいるので、文字で読むよりインパクトが少なくなってしまっているのは、残念と見るべきか、はたまた「やれやれ」と考えるべきか。 だけどどうして だけど どうして 恋をしたの わたし だけど どうして 愛したの あなた とても不思議なのよ 逢ったこともまるで なんかの偶然なのにね それがどうして恋になったの わたし それがどうして愛になったの あなた この3枚/6曲の中では、もっとも真っ当で彼女の声質に合った典型的昭和歌謡です。これ、好きです。A面のアンサーソングとしてのB面の曲と考えると、それはそれでなかなかよく考えられていると思いますが、ジャケットの写真とは合いませんねえ。 そうそう、このレコードたちのジャケットの紙質はエンボスになっていて立派です。上の写真でも分かる通り、レーベルもスリーブ(紙袋)のデザインもなかなかゴージャスです。 あんまりよく分からない説明でしたね。やっぱり聴かないと分からないですよね。それにしても彼女もまた表情がコロコロと変わりますね。他にもまだレコードはたくさん出されていて、とても全部をフォローは出来ませんが、知る限りで同じイメージの写真は少ないです。それがまた魅力かもしれません。 ところで肝心の音質ですが、これが結構良いのですが、それはおそらく当時の一発録り的による鮮度の高さ故だと思われます。それに昨今のような過剰なエコー・リバーブ関係はあまり多用されていないので、非常に自然というかリアルな音がします。 そうそう、ジャケットの裏側にこのようなことが表記されていました。 「ローヤル技術陣が開発したDyna(力学的広大な音を)Pick-Up(そのまま取り上げる)Sound(音の)System(方式)で、貴方が指揮者の位置で聞くと同じ音の距離と強さ、大きさをレコードの上で再現するシステムです。完全なHigh-Fi Stereoが楽しめます」 略してDPS方式と言うのだそうですが、あくまでも私の主観での判断ですが、もの凄く左右に音場を広げた音作りがなされていました。といっても自然なワンポイント録音で広がりがあるのではなく、マルチ・モノでパンポットで左右にソロ楽器を定位させて意図的に広がりを出したという感じです。 あー、つかれた。そんなわけで夏バテに負けない体力が残っていれば、また続編をご報告いたします。
by zappapa
| 2009-08-12 15:17
| 今日の歌謡曲
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Comments(7)
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路傍の石
at 2009-08-12 17:28
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レビューお疲れさまでした。さすが実際に聴いてる人のおっしゃる言葉には説得力がありますね。で、改めて感じたのは、ローヤルの魅力とはイマジネーションを最大限に広げるジャケと曲のタイトルにあるのだということ。逆に言ってしまうと、歌だけで語るには圧倒的な何かに欠けている。それでもいいじゃないか、愛と夢があるならば。そんなユルさがローヤルの真骨頂なのかもしれませんね。
今日は繁華街の中古レコ店2軒回りましたが、収穫はゼロでした。なので居酒屋でビールでも煽って帰ることにします(笑)。あ~疲れた。。。
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(Y)
at 2009-08-12 22:47
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路傍様 お疲れさまでした。
僕はどうしてもオリジナルに当りたいんですよ。外れても良いんです。ハズレだということが分かれば良い。再発だったりフォーマットが違うと、その辺のところがよく分からないんですよね。もちろん物には限度というものがありますが、そして時にはこちらの足元を見るような商売に振り回されることもありますが、できるかぎり実物に自分自身で触れてみて、納得したいんです。仰る通り、ローヤルレコードにはジャケとタイトルが醸し出す独特の雰囲気があるのですが、それはきっと我々が今になって感じることだろうし、だけども手に取ってみるとローヤルレコードとしか言いようの無い「モノ」としての存在感があるのは事実です。もちろん連番で集めるようなことは無いでしょうが、これからもこつこつと追い続けることになるのは間違いないですね。 ところで現在は同時進行として、お座敷歌謡・芸者歌謡をこつこつと集めています(笑)。我ながら懲りませんねえ〜(爆)。テーマがある楽しさです。ちょっと前まではセーラー服ジャケットがマイブームだったのですが(あ、全部マイブームか/笑)、これもまた深く静かに侵攻しています。
椿まみさんはいまも元気でいますよカラオケ店では大の人気です s県に住んでいます
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(Y)
at 2016-01-22 21:00
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yokohama様
古い記事に書き込みいただきありがとうございます。ネットでは今も自殺説が流布していますね。何年か前にもまみさんがお元気でいるという話を耳にしました。同姓同名の方でもいたのでしょうか。ご迷惑な話ですね。
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歌太郎
at 2017-06-26 14:45
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(Y)
at 2017-07-11 14:58
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歌太郎様
古い記事にコメントありがとうございます。 はい、まみさんに関しての自殺説は伝説みたいになってますね。このコメント欄にも同様なお話を他の方が書き込まれていますし、お教え頂いたようなお話を私も耳にしています。わざわざ書き込みありがとうございました。
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イッチー
at 2021-01-15 12:00
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今、ちょっと本に出来ないかとローヤルレコードの事を調べようとしているのですが、なかなか関係者に出会えません。どなたか、関係者をご存知の方、いらっしゃいませんか。
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